山仙の粉炭製造技術の特徴

 山仙プール式炭化平炉は、大きな穴を掘った周囲をコンクリートブロックの周壁で構成し、底に鉄板を敷く形態の炉です。
 石や粘土などで造った一般的な炭焼き窯は天井なども固めた閉炉ですが、山仙プール式炭化平炉は雨よけの屋根部分以外は上方が空いた開放炉です。
 乾燥した枝の細かく砕いたものや枯れ草を厚さ 20~30cm 程度敷き詰めて点火し、その後に原材料となる間伐材や竹を破砕したもの、あるいはその他の炭化用原材料などを投入します。
 大量の材料を投入して圧密状に積層管理することで厚く積み重なった材料自体が蓋の役割をしています。底に熱伝導率の高い鉄板を敷き、熱が高温かつ均一に行きわたるよう工夫しています。

 開放炉の周囲に作業車両走行路を付設する構造のため炭化原料の投入と生成した炭化物の搬出に重機での作業を可能とし、手作業で行う従来型の炭焼き窯に比べて作業効率が大幅に上がります。粉状になった粉炭や粒の大きい荒炭など、様々な種類の炭を同時に焼くことも可能です。

 山仙プール式炭化平炉と炭化技術は、一般の炭化平炉とは大きく異なり次のような特徴を持ちます。
① 平炉の大きさが加減でき、また窯を移動させることが可能です。平炉の側壁は鉄筋のないコンクリートブロックを積層して作られているからです。

② 排煙量が少ない
 煙突基部の燃焼器を底板に付設しているので燃焼器での煙が効果的に燃焼処理されて平炉の煙突からの排煙量は少なく主に水蒸気です。

③ 自治体との環境協定締結地元住民に対する説明会
 必要に応じて自治体と環境協定を結びます。文書を交わすこともあれば口頭説明による場合もあります。地元住民に対しては説明会を開きます。これらによって、住民と事業体の双方が安心してこの事業が展開できるようにします。

④ 高品質な粉炭が大量に得られます。
 800 度~1000 度の高温で炭化しているためです。
一度に大量生産が可能で、横 5m、縦 7m、深さ 1.8mの窯であれば、1 週間から 10日で約 10tの粉炭ができます。(現に一度使用したところから継続した購入希望があるだけでなく、新たに各方面から取引の要望が寄せられています。

⑤ 炭材が森林資源に限定されません
 生物由来のバイオマス資源が炭化可能なので森林資源を圧迫することがありません。大量に発生する剪定枝や樹皮などを有効に利用して粉炭にすることができます。ただし自然のもの分別されたものに限ります。海洋の水産物まで幅広い資源が見込まれます。

⑥ 作業効率の柔軟性
 パワーショベル等車両用の走行路を備えており、原材料の投入炭化物の搬出等の作業効率を高めることができます。国による労働事情の違いに応じた対応ができます。一輪車やリアカーを用いた手作業も可能です。

⑦ 安全作業の基準
 山仙式炭化平炉の作業に当たって、常に炉の状態を把握するとともに設備の機能を確実に作動させて安全に作業を行うためにきめ細かな安全作業の基準を作成し、事故防止に努めています